今月は
2013年 10月は
秋たけなわですね。
先月は雨ばかりが続いてどうなってるのかと思いましたが、
なんとか秋らしくなりました。
でも秋の夜長というのは、ただ静かな夜ではなくてずっと虫の音が聞こえて、
それが読書などにはなんともいいものですね。
まあ、虫もあんまり多いとか近いと、やかましいんでしょうけど(笑)
秋が来るたびに、やっぱり秋の夜は趣があるなーと思います。
金花糖も、今月は庭の眺めも秋らしい、静かな雰囲気です。
そしてそんな秋の落ち着いた気分でのお勧めメニューに、
紅茶あんみつはいかがでしょうか。
紅茶あんみつは、
濃いめアールグレーで作りました紅茶寒天が主役のあんみつです。
まず、ベースに紅茶寒天がたっぷり入って、
その上に丹波大納言の餡と、自家製アイスが載っています。
色どりとしては生クリームに苺とキウイが添えられて、とても固定ファンの多いメニューです。
特製の白蜜も付いて、お好みの甘さで紅茶寒天の味わいを楽しんでいただけます。
今月は金花糖で、ぜひ紅茶あんみつをご賞味くださいね。
では、菊を詠んだ在原業平(なりひら)の歌です。
前書きがあります。
后の宮(きさいのみや)より菊を召されましたので、
掘って差し上げるということで
うゑしうゑば秋なき時やさかざらむ花こそちらめねさへかれめや
〔植ゑし植ゑば 秋無き時や 咲かざらむ 花こそ散らめ 根さへ枯れめや〕
しっかりと植えれば、秋の無いときは 咲かないでしょうし 花こそ散るでしょうが、根までは枯れるでしょうか。
面白い歌ですね。
普通は菊をさし上げたら、きれいに咲きますからとか言いそうなものですが、
業平さんは、
秋が無ければ咲きませんよなんて言ってるわけです。(笑)
まあ秋の無いときなんてよほどの異常気象で、めったには無いとは思うんですが、
でもここは、何かあれば咲かない時もあるでしょうという程度の意味と思います。
そして加えて、花は必ず散るというわけです。(笑)
思うに、業平さんは何しろ色好みで知られた方ですから、
私が色んなふうにお見えになることもあるかもしれませんが、
深いところにある私の思いはずっと変わりません・・・ 根まで枯れるでしょうかと、
そんな歌にしたのではないでしょうか。
業平さんの歌は、古来 「心余りて、言葉足らず」 と言われます。
あまりに感覚が素晴らしく、そのため飛んでいて分かり難いというわけです。
でも、才能あふれる詩人ならそんな面はあるものではないでしょうか。
「秋無き時や 咲かざらむ 花こそ散らめ 根さへ枯れめや」、
咲かないよ、散りますよと言っておいて、さらり自分の思いを伝える、
こういう詩人じゃないと色好みにはなれないかもしれませんね。(笑)
次も、菊を詠んだ源雅光の歌です。
しもがるるはじめとみずはしらぎくのうつろふいろをなげかざらまし
〔霜枯るる 初めと見ずは 白菊の 移ろふ色を 嘆かざらまし〕
霜枯れとなる 初めと見ないなら 白菊の 変わっていく色を 嘆かないでしょう。
白菊は、枯れる前に変色して赤みのある紫色になります。
これは今では、枯れかかっている色としか見ていないのですが、
昔の人は、この紫になってしまった菊も美しい色として観賞していました。
菊はもともと中国から来たものですが、気品のある美しさで愛されました。
その高貴な美しさから、後に天皇家の御紋ともなったと思います。
そしてまた、紫も高貴な色です。
ですから菊が紫色となれば、これは2倍に素晴らしいわけです。(笑)
その頃の人は、紫色になってしまった菊もよ~く見ていたのです。
しかし、野原は秋の草花で色とりどりだったのに、この菊が枯れてしまうと、
秋の花もおしまい。あとはみんな枯れ果てて行くのを待つしかないのです。
白菊の紫色は、その時期が直前であることを示しています。
紫の菊の気品に浸りながら、嘆きも出るのです。
「霜枯るる 初めと見ずは 白菊の 移ろふ色を 嘆かざらまし」、
枯れていく花にも美を見出し、そして移り行く季節を嘆く。
日本ならではの、美しい思いが詠まれた歌ですね。
さあ、秋はいろんな楽しみがいっぱい。
晴れ上がった秋空は、見上げるだけで心も清々しくなるような気がします。
食欲の秋、行楽の秋・・・ 秋をいっぱいに楽しみたいですね。