今月は
2009年 10月は
日もほんとに短くなって、秋ですね。
ここ金沢では、朝晩はもう涼しいというより寒いと思うときもあります。
そしてサツマイモ、栗、松茸などもお店に並んでますね。
美味しいのはいいのですが、やはり体重やお腹まわりが気になるところ。
なんとか、体形キープで秋の味覚を楽しみたいものですね。(笑)
金花糖も今月は、秋らしい静かな雰囲気です。
季節のメニューは月初めは、
つるつるの滑らかな口当たりが好評の、白玉ぜんざいです。
そして寒くなったら、焼餅トリオ、ぜんざいのお餅のメニューを始めます。
金花糖のお餅は、しっかりした力のある伸びが好評をいただいています。
ぜひ静かな金花糖で、ゆっくり温かいメニューを楽しんでくださいね。
さて、今月は三日が中秋の名月です。
そんな明るい月の夜に詠まれた、紀貫之の歌です。前書きがあります。
「月が素晴らしいね」 と言って、
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)が訪ねてきたので詠みました。
かつ見れどうとくもあるかな月影のいたらぬさともあらじと思へば
〔かつ見れど 疎くもあるかな 月影の 至らぬ里も あらじと思へば〕
《見るけれど 親しめないかな 月光の 至らぬ所 なしと思えば》
「月が美しいから、一緒に楽しみたいと思って・・・」 そんなふうに友達が来てくれるというのは
嬉しいものですね。
貫之さんは喜んで、親しい友達ならではの歌を詠んで迎えたのでした。
嬉しいけど、ちょっと親しめないかなー。君はそんなこと言ってあちこち、
月の光と同じで行き渡らないとこはないと思うのでね。
「月影の 至らぬ里も あらじと思へば」
上手いものですね。
あまねく世を照らす月を称えながら、
友達を月影(月の光)に例えて、「僕のとこだけに来たんじゃないんでしょう」 と詠みかける。
躬恒さん、こんな見事に歌を詠まれたら、
もう他のとこへは回れませんよね。(笑) その夜は月を見ながら、
きっと楽しく盛り上がったんでしょうね。
次は、中秋の名月を詠んだ藤原忠教(ただのり)の歌です。
いづくにもこよひの月を見る人のこころやおなじそらにすむらん
〔いづくにも 今宵の月を 見る人の 心や同じ 空に澄むらん〕
どこであっても、今宵の澄みきった月を見ている人の心は月に引かれ、
心も同じ空で澄んでいるのだろう。
澄みきった月を見ていると、ほんとに心が洗われるような、
自分の心まで澄んでいくような気がします。
じっと美しい月を見ていると、
心が月に吸い込まれていくかのような、そんな感覚になることもあります。
忠教さんはそんな思いを、心が空に上り、月に習うように心も澄んでいく、
そして今宵の美しい月を見ている人は、みな同じ思いでいるだろうと詠んだのです。
「すむ」は、澄むの意に、住むの意も掛かっています。
今宵は月も心も空に住み、共に澄みわたるのです。
「心や同じ 空にすむらん」、名月にふさわしい素敵な歌ですね。
さあ今年は秋の味覚を味わいながら、美しい月を存分に楽しむという、
贅沢三昧はいかがでしょうか。(笑)