今月は
2016年 1月は
明けましておめでとうございます。
お正月はもう何十回となくやってきたはずですが、やはり心が改まって気持がいいものですね。
また日頃逢えない人にも逢って喋ったりとか、
昔はしょっちゅう顔を見てたような人が、いつのまにか全然縁が無くなって、
それがお正月ということで顔を合わせると、やはり心も戻ります。
年はとりますが(笑)新しいスタート、新鮮な気持で行きたいです。
金花糖も今年で16年になります。本当にお蔭様でよく続いたものです。
しかし年が行くごとに思うのは、少しずつ弱っていく体をどう保っていけばいいのかということです。
餡子もアイスも何でも自家製というのは、それなりに体力が必要になります。
体は全身をちゃんと使って、そして無理をしすぎないのが良いそうです。
出来るだけ長く続けられるように、無理しすぎないように心がけていくつもりです。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします≦(_ _)≧
では、新年を詠んだ素性法師(そせいほふし)の歌です。
あらたまの年立帰る朝よりまたるる物はうぐひすのこゑ
〔あらたまの 年立ち返る 朝(あした)より 待たるる物は 鶯(うぐひす)の声〕
新春の 年の初めに返った 朝からは 待ってしまうのは ウグイスの声。
昔の人が春を待つ気持ちというのは、今とは比べものにならないくらい強かったと思います。
当然ですが暖房も家の作りも今とは違いますから、
冬の寒さはほんとに大変だったでしょう。
もちろん野山の花も枯れ果てて・・・ だから早く春が来て、花の咲く日々が来てほしい、
ひたすらそう思うような気がします。
そして旧暦ではお正月は、冬の真っ只中ではなく、だいたい立春になります。
そうなると新年は今よりも何倍も嬉しい、おめでたいことだったろうと思います。
しかし、ここに落とし穴があります。(笑) 実は「だいたい立春」ですが、本当にだいたいなのです。(笑)
今の暦は、太陽の位置と暦のズレは2月の末に、うるうで1日入れて調整します。
ですから、年による暦のズレは1日以内に収まります。
旧暦はそれが出来ないのです。それは、1か月が、月の満ち欠けと合ってないといけないからです。
うるう日のために新月や満月が1日ずれてしまうとか、それはだめなのです。
それで暦にズレが出てくると、うるう月で1か月多くするのです。
つまりその年は1年13か月で、どれかの月が2回あるわけです。
ということは、年による暦のズレ幅は最大1か月あるのです。
プラスマイナス15日の差と言えばちょっと小さく感じますが、もちろん同じです。(笑)
ですから、旧暦でも立春の日そのものは今と同じなんですが、
年が明けたからとか、なん月になったからとかはあんまりアテにならないのです。
加えて、当然ですが今のような天気予報なんてありません(-”-;)
そうなれば、いちばん確かなのは自然現象です。
歌を詠んだ素性法師さんは、ウグイスの声を本当に早く聞きたかったのです。
「年立ち返る 朝(あした)より 待たるる物は 鶯(うぐひす)の声」、
年が明けて、暖かい春が本当に待ち遠しい、
まさにそんな思いの歌ですね。
次は、紫式部の歌です。前書きがあります。
正月十日の頃に、春の歌をさし上げなさいとありましたので、 まだ宮中に出て行きもしない隠れているような家にて。
みよしのは春のけしきにかすめどもむすぼほれたるゆきのした草
〔御吉野は 春の景色に 霞めども 結ぼほれたる 雪の下草〕
吉野の山は 春の景色に 霞むけれど 氷ったままの 雪の下草。
紫式部は、帝の御后の彰子という方にお仕えしていました。
それが前書きにあるように、正月の十日になっても出てこないというのは、
やはり何かあったのでしょう。
隠れるようにしているということは、精神的に何かいやなことがあったようです。
それで多分、御后に春の歌をさし上げなさいというお便りが届けられたわけです。
出てこないならお叱りを受けてもいいわけですが、
春の歌を、と言うくらいですから心配されてたんでしょうね。
紫式部はその旧暦の正月ころの眺めを歌に詠みました。
吉野を見やればもう春めいて春霞がかかっているけれど、
地面を見ると、雪の下で草はまだ凍りついている。
世は少しずつ春に向っているけれど、まだ凍りついたままのものもありますよ。
そしてその氷ったままの「雪の下草」が私です。
私の心は絡まったまま、まだ解けません。そう、お返事しているわけです。
「御吉野は 春の景色に 霞めども 結ぼほれたる 雪の下草」、さすが、ほんとに上手いですね。
でも、御后の彰子さんはこの歌をどう読まれたのでしょうか。
これは全くの想像ですが、彰子さんは賢い方でしたから、時が来れば雪は必ず溶ける、
そう思われたような気がします。実際、そうなったようです。
めでたし、めでたしということで。(笑)
さあ、新しい年です。今年の目標は、また整理整頓というのはどうでしょう(笑)