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今月は

2010年 6月は

日がほんとに長くなりました。 朝目覚めたときの明るさも、もうほんと明るいです。 今月は21日が夏至。 一年中でいちばん昼の長い日がもうすぐですから、 朝も明るいわけなんですね。
そして今月は、ついに梅雨です。 作物を実らせるる恵みの雨でもあるんですが、 じめじめだし、外出はおっくうになるし。 もともと車で行くようなところはまだいいんですが、 歩いて行ったり自転車で行ってたところなんかは、 やっぱり足が遠のきます。まあ、ちょっとがまんの時節ですね。(笑)
今月の金花糖は、温かい鯛焼きも終わって、 いよいよ冷たい鯛焼き、冷鯛(ひやったい)が美味しい時節です。 冷鯛は、まず生地を焼いて、お腹を割ってから そこに餡と生クリームを入れ、冷凍した鯛焼きです。 鯛焼きとはいえ、生地は温かい鯛焼きとは別物です。 そして餡は丹波大納言、生クリームも餡の味に合わせて作ったものです。 蒸し暑い時節には、ぜひ冷鯛(ひやったい)をご賞味くださいね。
では、梅雨を詠んだ伊勢の歌です。伊勢は1100年前の宮廷の女房です。

我がごとや雲のなかにもおもふらんあめもなみだもふりにこそふれ
〔我がごとや 雲の中にも 思ふらん 雨も涙も 降りにこそ降れ〕

きっと私と同じなのだ!! 雲の中にも物思いをしているのだろう。 雨も涙も、降りに降る・・・
伊勢さんは詩人ですねー。 いつまでもいつまでも続くような雨、それを見ているうちに、 雲の中にもきっと自分と同じ物思いがあって、 だからその涙の雨はいつまでも絶えまなく降っているのだ、そんな思いになったのでした。
降り続く雨は心も湿らせます。 そして日頃の思いが溢れて止まらなくなる、 伊勢さんのように感受性の高い人は要注意です、 まあ敏感でない人は大丈夫ということになるんですが。(笑) そして、 「雨も涙も 降りにこそ降れ」、 ここまで来てしまったらほんとに大変です。(笑) この先、 伊勢さんはどう立ち直ったのか心配になってしまうのですが、 そこはやはり季節とともに、 心も自然に立ち直った ということなんでしょうか。・・・ 「我がごとや 雲の中にも 思ふらん」、 降り続く雨に、まさに湿って沈んだような思いが表れた歌ですね。
次は、やはり梅雨、五月雨(さみだれ)を詠んだ順徳院の歌です。

五月雨のはれまも青き大空にやすらひ出づる夏の夜の月
〔五月雨の 晴れ間も青き 大空に 休らひ出づる 夏の夜の月〕

もう雨ばっかりだとほんとにいやになってしまうのですが、 そこにぱっと晴れ間があると、何か一息つくような感じになりますね。 梅雨の晴れ間、青い大空が見えて月も出ました。 するとお月様も、「休らひ出づる」、ほっとして一休みに 出てきかのようなのです。面白いですね。
月にしてみれば、休むどころか毎日1分も間違えずに動いてるんだけど、 と言いたいところかもしれませんが(笑) でも、そう見えるというのは 分かりますね。自分がほっとすれば、月もほっとする、 そういうものかもしれません。 それも自然の大きさでしょうか。 「晴れ間も 青き大空に 休らひ出づる 夏の夜の月」、 気詰まりが、広い空に抜けていくような、素敵な歌ですね。
例年、梅雨の期間は1月半ほどもあるそうですが、 こういう息抜きもあるということで、体も心も、 なんとか元気を保っていきたいものですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087