今月は
2012年 1月は
今年はどんな年にとか思うと、
去年の震災のことが浮かんでしまいました。
今年はまず、ほんとに大災害がありませんようにと祈りたいです。
さあ、今年のお正月はいかがですか。
毎年正月の休みはのんびりと、と思うんですが、
いつもいろいろと予定ができて、
結局ばたばたしているうちに終わってしまいます。(笑) まあ、
普段遠くにいる家族や友達が帰ってきたり、
地元にいても日頃会ってない人と喋ったり、そういう機会が多くなるからで、
ばたばたしてるのはそれで嬉しいことなのかもしれませんね。
金花糖は今年の正月休みは、多めにいただくことに致しました。
お正月をゆっくり休んで、新しい年をスタートいたします。
そして今年もいままでと変わらず、餡、アイスクリームをはじめ、
手作りの味で歩んでいきたいと思っています。本年もまたよろしくお願いいたします。
では、新年の九条良経の歌です。
ふゆがれのこずゑにのこるこぞのゆきはことしのはなのはじめなりけり
〔冬枯れの 梢に残る 去年(こぞ)の雪は 今年の花の 初めなりけり〕
新しい年を迎えると、ほんとに気持があらたまります。
でも、自分の何が変わったとかいうわけではないので、
それは何か不思議な気がします。
世の全てが一度何か新しくなったような感じ、これは新年にしかないものですね。
冬枯れの梢に残っているのは、去年の雪です。
でも年が明けると、その雪も新しくなって 「今年の花の初め」として、
めでたく祝う気分になるのです。
新しい春が来て、また花が咲く。
今はこの雪を花と見て、新春を祝おう。
「梢に残る 去年(こぞ)の雪は 今年の花の 初めなりけり」、
まさに新年ならではの思いが詠まれた、おめでたい歌ですね。
次は、冬を詠んだ藤原俊成女(としなりのむすめ)の歌です。
かきくらし日数ふるやの軒とぢて空にはふかき雪の白雲
〔掻き暗し 日数ふるやの 軒閉じて 空には深き 雪の白雲〕
乱れて暗い 日数を経た古屋の 軒は閉じて 空には厚い 雪の白雲。
雪の降る冬の空を見上げると、まさに乱れて暗い、そんな感じがします。
その暗い空が、防雪で囲われている軒を、また閉じ込めるように覆い、
空には厚い雪雲がある。
まさに、冬といえばこの思いですと言いたいのですが、
「雪の白雲」、この白雲は何でしょうか。
雪の降るときに白い雲なんてありません。空は全て灰色です、
と北陸の人間としては言いたいです。(笑)
しかし、これは別に北陸の空とはかぎりませんし、所変わればということかも。
そして思うに、俊成女さんは非常に美意識が高く、歌に極めて優れた人でした。
ほんとに白い雲があるかどうかよりも、ここは、「空には深き 雪の白雲」と
いう句で 「深き 雪の白」、この言葉を生かしたかったのではないでしょうか。
その暗い閉じたような空の下には、深い雪に埋もれた白い世界があるのです。
そのことが浮かぶ歌にしたかった、そういうことだと思います。
「軒閉じて 空には深き 雪の白雲」、
地を白く埋め尽くす深い雪、そして心まで閉じ込めてしまいそうな暗い空。
雪深い冬の思いを、見事に詠んだ歌ですね。
さあ、年が明けて、雪も今からが本番。今年がほんとうによい年でありますように!!