今月は
2016年 7月は
今月は梅雨明け、いよいよ夏です。
梅雨が明けると、やっぱりまず明るい眩しいですが、
気分もパーっと広がって明るくなるような感じです。
でもこの夏の象徴のような明るい太陽ですが、
前は健康の象徴のように思われていたのに、
今や陽にあたるのはとにかく健康に悪い。
陽の光を直接見るのもよくないとか・・・ いろいろ難しい世の中です。
それでも梅雨が明けたときに、明るい太陽に顔を向けると、
夏だーと何か気持いいです。
健康には要注意ですが、いっぱい夏を楽しみたいですね。
金花糖も、今月は夏メニューとなります。
中頃までは大変好評のわらび餅を続けまして、
それから折を見て、くずきり、氷の夏のメニューとなります。
くずきりは、吉野本葛を使ったものでほんとに美味しいです。
本葛のくずきりは、時間が経つと固くなるもので作り置きができません。
ですから必ずご注文いただいてから作っています。
少しお時間をいただきますが、くずきり本来の味わいを楽しんでいただけます。
蜜は、黒蜜と抹茶蜜の2種類をお付けしますので、お好みで味わっていただけます。
今月は金花糖で、ぜひくずきりをご賞味くださいね。
では、夏を詠んだ藤原基俊の歌です。
けふかふるせみの羽ごろもきてみればたもとに夏はたつにぞ有りける
〔今日替ふる 蝉の羽衣 着てみれば 袂(たもと)に夏は 立つにぞありける〕
今日替える 蝉の羽のような衣を 着てみたら 袂に夏は 立つというものなのだなー。
これは蝉の羽衣、つまり夏の薄い服に着替えたら、袂にまず夏を感じたということで、
腕のあたりがスーっとするなーという感じではないでしょうか。
たしかにそれは分かりますね。
この歌が詠まれたのは立夏の時のようですから、そういう感覚を 「袂に夏は立つ」 と詠んだわけです。
そして立つは、裁つ、つまり衣服にするために布を裁つの意も利かせています。
その頃の夏服は、昔の絵にも描かれてますが、絹の一重で薄いです。
もう今でいうシースルーです。
まさに蝉の羽というような衣ですね。
「今日替ふる 蝉の羽衣 着てみれば 袂(たもと)に夏は 立つにぞありける」、
薄い服に腕を通していよいよ夏だなーと、夏に軽やかに向かって行くような、そんな気分を感じる歌ですね。
次は、七夕を詠んだよみ人知らずの歌です。
こひこひてあふ夜はこよひあまの河きり立ちわたりあけずもあらなむ
〔恋ひ恋ひて 逢ふ夜は今宵 天の川 霧立ち渡り 明けずもあらなむ〕
恋い恋いて 逢う夜は今宵 天の川、霧が立って埋め尽くし 明かるくならない様なままであって欲しい。
なかなか大変な歌ですね(笑) こういう歌になったのは、
他人事ではなくて一年に一度だけという織姫と彦星の気持になっての歌ということですね。
でも、ここまで織姫や彦星に思い入れが出来たというのは、
七夕の話を日本式に置き換えていたからこそと思います。
中国の話では、羽を広げたかささぎの橋を渡って、織姫が彦星の所に行きます。
でもその頃の日本の風習では、男が女の方に行くのに決まってました。
結婚してからであっても、ある時期までは男が女の方に通いました。
中国の話とは逆です。
そして日本では男が訪れるのは、必ず夜暗くなってからで、
家を出るのは、明け方のまだ暗いうちに出ることになっていました。
家を出るのが明るくなってしまうのは恥ずかしいことでした。
そこで日本の七夕では、彦星の方が船に乗ったりとか、
川の浅瀬を渡ったりして、織姫のところに行くのです。
天の川に浅瀬があるのかと思ったりしますが(笑) それは不粋というものでしょう。
とにかく日本風なのです。
ということは朝が近づいて来ると、明ける前、
まだ暗いうちに男は女の家を出なくてはなりません。
でも暗いままなら、出なくてもいいわけです(笑) 「天の川 霧立ち渡り 明けずもあらなむ」、
霧で埋まって明るくならないように。天の川にそんな具体的に考えなくてもということで、
これは面白い歌ですね。(笑)
さあ、夏が来ます。七夕も晴れるといいですね。