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今月は

2022年 4月は

暖かくなってきました。 有難いですね。 若い時は全くそんなことは思わなかったんですが、 年と共に一年一年寒さに我慢ができなくなって さっと手のひらを返して! 春がこんなに有難いものかと思うようになりました。 昔の人の歌を読むと、 春を待ち望んでいるというのは伝わって来るんですが、 どうしてそこまで春なのか、 ちょっと形式的な歌ではないかとか思ったりしましたが、 いやぁ暖かいというのはいいものですね(笑) 反省そして感謝の春となりました(笑)
金花糖も今月は、庭の光がこれぞ春の明るさです。 そして花も春の花、春いっぱいでお迎えしています。 そこで今月のおすすめは、「抹茶ぜんざい」です。 「抹茶ぜんざい」は、丹波大納言の餡と、 自家製アイスの美味しさをそのままシンプルに味わっていただくメニューです。 餡の上にアイスが載りまして、抹茶の濃茶がかかっています。 彩りには金箔と白玉が添えられて、 濃茶はシロップではなく、お点前で使う抹茶を使っていますので、 餡とアイスの美味しさがより深い味わいになっています。 ほんとうに美味しいメニューです。 ぜひ今月は金花糖で、「抹茶ぜんざい」をご賞味くださいね。
では、散ってゆく桜を詠んだ式子内親王(しょくし ないしんのう)の歌です。

残り行く有明の月のもり影にほのぼのおつるはがくれの花
〔残り行く 有明の月の 洩(も)り影に ほのぼの落つる 葉隠れの花〕

この「ほのぼの落つる」の「ほのぼの」は古語では、 様子が薄くぼんやり分かる感じで、という意です。 はっきりとか目立つ、華やかの逆ですね。
夜明けにも残って行く 有明の月の 木から洩れる光に 何事もなく落ちる 葉に隠れていた花。
桜が散るのは寂しいですが、 それでも桜は散り際も美しく華やかです。 でも式子さんの心に触れた桜は、葉の陰に咲き、 そして有明の月のぼんやりした光の中になんとなく落ちていく花でした。
式子さんは皇女でしたが、 その頃は天皇家は崇(あが)めていた賀茂神社に斎院という、 未婚の皇女を奉仕に出す制度がありました。 占いによって、式子さんはその斎院に決まったのです。 以後、病で退くまで10年間を賀茂神社にて斎院として仕え、そして生涯独身で過ごしました。 斎院は本来天皇の退位まで続くもので、 占いで決まった時点で若い時代の人生が決まってしまうわけですから、大変なことだったと思います。
そんなこともあってか、この歌のように思いを押し込めたような歌を残した式子さんには、 秘められた恋の話題が昔から、そしてなんと現代に至るまで絶えません。 まあ今も昔も、皇族のゴシップは興味しんしんということでしょうか(笑)
この歌は、「葉隠れの花」とありますが、 桜は葉が付く前に花が咲きますからちょっと変に思ってしまいます。 ですが今は桜と言えばソメイヨシノなのでそうなのですが、 昔は桜はヤマザクラでした。 ヤマザクラは、赤茶色の若葉が花と一緒に出るのです。

山桜
若葉といっても枝と同じような色ですから、桜の華やかな美しさは変わりません。 でも、葉の陰になってしまう花があるのです。 そんな花が、散るのを惜しむわけでもなく、 まるで心を決めたかのように落ちて行った。 見て、式子さんの心が動きました。
「残り行く 有明の月の 洩(も)り影に ほのぼの落つる 葉隠れの花」、 桜がひっそり咲いて、月に見守られながら、知らぬまに落ちて地に返る。 全てをただ静かに受け入れる、そんな花を詠んだ美しい歌ですね。
さあ、春々々の四月です。美しい春満喫で行きたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087