今月は
2002年 7月は
先月はもうワールドカップ一色でしたね。興奮もおさまって、 梅雨があけると夏がきます。
花鳥も みな行きかひて むばたまの 夜の間に今日の 夏はきにけり ・・・ 紀貫之
メニューも今月から、くずきり、かき氷が始まります。くずきりは
御注文があってから作りますので、ちょっとお待たせ致しますが、
吉野本葛を使ったほんとに美味しいものです。黒蜜、抹茶蜜と
2種類の蜜をお付け致します。ぜひご賞味ください。
さて、夏の話題もいろいろありますが、最近は見られなく
なってしまったのが蛍です。光が飛び交う光景から、古来、様々な
思いが生まれ歌が詠まれました。
物思へば 澤の蛍も わが身より あくがれ出づる 魂(たま)かとぞ見る
< 恋の物思いをすれば、沢の蛍も、自分の身から抜け出して、 燃えて光っている魂かと見て思う >
すごい歌ですね。これが絶唱ですね。
和泉式部が男に忘れられていた頃、貴船神社に参った時、
蛍が飛んでいるのを見て詠んだと書かれています。
そしてなんと、この歌には、貴船明神から返しの歌があったというのです。
奥山に たぎりて落つる 瀧つ瀬の 玉ちるばかり 物な思ひそ
< 奥山に激しい勢いで落ちる滝の瀬の、水が玉となって飛び散るように、 魂(たま)が乱れ散るほど、物思いはするな >
「玉ちる」は「魂散る」を利かせて、蛍が飛び交うイメージと つながっているんでしょうね。この歌、 男の声で和泉式部の耳に聞こえたそうです。後拾遺和歌集には、 この貴船明神の歌もそろって撰ばれています。 和泉式部、ほんとに神がかった感性ですね。