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今月は

2018年 11月は

秋真っ只中です。今月は秋も終盤になりますね。 また7日が立冬ですから、いよいよ冬の足音です。 ここ金沢では、片付けていた暖房器具を出して準備してという時節になります。
そして今月は、やはり紅葉がほんとに楽しみです。 見ごろは金沢は11月下旬で平年並という予想のようですが、 秋も終りということでここは美しい秋をしっかり堪能しておきたいですね。
金花糖も今月からは、いよいよ温かいお餅メニューです。 季節メニューとして、ぜんざいと、焼き餅トリオを始めます。 お餅のメニューといえば主役は当たり前ですがやはり餅です。 金花糖の餅は、職人さんが手でぺったんぺったんついたお餅です。 手つきの餅は、伸びに力があってとっても美味しいです。 そしてだんだんと冷え込んでくると、やっぱりお餅は体が暖まって元気が出ます。 今月はぜひ金花糖で、ぜんざい、焼き餅トリオのお餅メニューをご賞味くださいね。
では、秋の終りを詠んだ俊成女(しゅんぜいのむすめ)の歌です。

たつ田川水にも秋や暮れぬらんもみぢ乱れて影ぞながるる
〔竜田川 水にも秋や 暮れぬらん 紅葉乱れて 影ぞ流るる〕

竜田川の 水にも秋は 終るのだろう 紅葉舞い乱れて 映る姿が流れている。
美しいですねー。
竜田川は、奈良県の古来紅葉の名所です。 ですから紅葉が散る頃には、川は紅葉の流れで赤く染まった様になります。 竜田川の水が赤く染まったら、秋も終りに近づいているのです。 そして紅葉が流れ行き、また澄んだ流れに戻ってしまうと秋はもう本当に終りです。
俊成女さんが秋の終りの竜田川を眺めていると、 風が吹いたのでしょうか、 まだ川にまで落ちていない紅葉が舞い散ったのです。 もう川も澄んでいるので、 風に乱れる紅葉は水に映って、川を流れているように見えたのでした。 「影ぞ流るる」 です。影は、昔も今と同じ意味もありますが、 昔は裏返しの日や月の光という意もあり、そして鏡や水に映って見えている物の姿という意味がありました。
いま川を流れるのは、紅葉の影なのです。 川を染めるほどに流れていた紅葉はもう無いのです。 秋の終りでした。 「竜田川 水にも秋や 暮れぬらん 紅葉乱れて 影ぞ流るる」、 風に乱れる紅葉よりも、その影を見つめている女の人が浮かびます。 竜田川の水を眺めて秋は終ったと思った。 秋の終りを詠んだ、ほんとうに美しい歌ですね。
さあ、秋も奥まで来ました。日が暮れるのもほんとに早いです。 寒い寒い時節が来る前に、秋の夜長も十分に楽しんでおきたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087