今月は
2017年 2月は
年が明けてあれこれしているうちに、2月です。
先月は、大寒が近づいた頃からどっと寒くなって雪が降ってでした。
そして今月は、3日が福は~内で節分、4日が立春です。
いよいよ少しずつ春です。
今年の冬はあったかめみたいですが、
それでも春の暖かさはまだまだ。
でも日の光はたしかに明るく春らしくなってきます。
まずそれを楽しみに、春を待ちたいです。
今月の金花糖は、まだストーブの音だけがボーボーとして静かな雰囲気です。
こんな時おすすめは、やはり力の出るお餅メニューで、焼餅トリオはいかがでしょうか。
焼き餅トリオは、職人さんがペッタンペッタンついた手つきのお餅を使って、
それを三種の味で味わっていただくメニューです。
海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこを使ったあべかわ、 そして抹茶味。
三つの味がセットになっています。
ゆったりと落ち着いた雰囲気で、ぜひ焼餅トリオをご賞味くださいね。
では、立春を詠んだ二条の后(きさき)の歌です。
雪の内に春はきにけりうぐひすのこほれる涙今やとくらむ
〔雪の内に 春は来(き)にけり 鶯の 氷れる涙 今や溶くらむ〕
雪の内に 春は来たのだなー 鶯の 氷っていた涙が 今溶けるのだろう。
鶯の涙が氷っていた、よくこんな思いが浮かんだものですね。詩人ですねー。
昔の人は何かあれば歌を詠みました。
新しい季節が来ると、
この自然の営みがそのまま続いてくれることを願い、歌を詠んだのではないかと思います。
ですから新しい季節が何事もなく来ることを詠むのです。
立春はその前が大寒で一番寒い凍りつく時節です。
だから氷が溶け始める、と詠む歌が多いです。
すると問題はどんな氷が溶けたと詠むのかということですが、
普通はやはり川や池、せいぜい岩の氷とかになります。
でも二条の后さんは、鶯の涙という想像が浮かんだわけです。
鶯は、冬は鳴くことはないですが、木の実などを食べてちゃんと活動しています。
でも涙が氷ったと言われると、
なにか鶯が寒さで動けず、じーっと涙が溶ける時を待っているような想像が浮かんでしまいます。
鶯はまさに春を告げる鳥です。
その春の始まりを、まだかまだかと待っている鶯の姿が自然に浮かぶのです。
「雪の内に 春は来にけり 鶯の 氷れる涙 今や溶くらむ」、
春を待つ思いが、素敵な想像を生んた。
春の初めを飾る美しい歌ですね。
次は、清原元輔の歌です。前書きがあります。
女と言い交わしたのですが、数年になったけれど冷たかったので、
雪の降りました時に。
ふるほどもはかなく見ゆるあはゆきのうら山しくも打ちとくるかな
〔降る程も はかなく見ゆる 淡雪の うらやましくも 打ちとくるかな〕
降る様子も はかなく見える 淡雪は うらやましいなあ すぐに打ちとけるのですよ。
これはこの歌をつれない女性に送ったんでしょうね。
淡雪を見て、すぐこういう歌にして、それを誰か使いの人がすぐに届けるわけです。
元輔さんの意図としては、女性も淡雪を見ながらこの歌を読むということでしょう。
上手いものですね。
元輔さんは歌の名人として知られた人でした。
そして元輔さんには娘がいました。なんとあの清少納言です。
ご存知のとおり、清少納言は宮廷ですごく人気のある人でした。
それは美人だからではなくて、
教養があって受け答えがすごく面白かったからです。
里に帰っているときでも次々と貴族の男の人が尋ねてくるので、
ゆっくりできないので居る所を秘密にしたりしたほどです。
でも清少納言さんにも弱みがありました。
歌がなかなか出来ないと、「元輔の子なのに・・・」 と言われてしまうのです。
それで、お仕えしている后の定子さんに、
何かあっても歌を詠まなくてもいいようにしてほしいと、
お願いをしたという逸話が枕草子に残っています。
そんな元輔さんですが、確かにこの歌も声を出して読んでみると、
音や調子までも柔らかくふわりと淡雪の感じです。
「降る程も はかなく見ゆる 淡雪の うらやましくも 打ちとくるかな」、
まあ、
この歌を送った結果は分かっていませんが(笑) 大人の関係を時節の春の淡雪に包んで、
さすが名手の歌ですね。
さあ、2月です。だんだん日も伸びて明るくなってきます。
気分も乗っていきたいですね。