今月は
2009年 9月は
選挙も終わりました。でも、今年は夏らしくなかったですねー。
稲作とかもちょっと心配です。
日本の気候は、春夏秋冬がはっきり表れるというのが特徴ですが、
今年は秋もどうなんでしょうか。
澄み切った秋晴れ、ぱらぱらっと来る時雨。秋こそは、らしいお天気であってほしいですね。
金花糖も今月は、秋への変わりめの月です。
暑いうちは氷とくずきりのメニューですが、暑さがおさまったころに、白玉ぜんざいをいたします。
その頃には庭の景色も秋らしい色になって、
雰囲気も少しずつ落ち着いた感じになってきます。
秋も、ぜひ金花糖にお立ち寄りくださいね。
では、秋の気配を詠んだ藤原良経(よしつね)の歌です。
良経は 800年前の歌人です。
秋ちかきけしきの森になくせみのなみだの露や下葉そむらん
〔秋近き 気色の森に 鳴く蝉の 涙の露や 下葉染むらん〕
「気色(けしき)の森」は、鹿児島県にあったと思われる森の名前です。
「気色」は、目に見えるほのかな動きや様子の意味です。
秋近し、そんな様子が見えてきた。
気色の森では、鳴く蝉がもう命の終わりと紅の涙を流し、
木の下葉を紅く染めているのだろうか。
浮かぶイメージが美しいですね!!
秋がほのかに見えてきて、そこで良経さんには、
「気色の森」の思いが浮かんだのです。
気色の森で、
いま秋の景色が生れている・・・ 蝉が涙を流し、
その涙で葉が色づいている・・・ 詩人ですねー。
紅葉というのは、葉の葉緑素が分解して、別の色素が合成されて出来るものだそうです。
でも、詩人はそんな無粋なことは言いません。(笑) 蝉の短い命、
その悲しみの涙が葉を紅く染めるのです。
「涙の露や 下葉染むらん」・・・ ほんとに素敵な歌ですね。
次は、よみ人しらずの歌です。
わがためにくる秋にしもあらなくにむしのねきけばまづぞかなしき
〔我がために 来る秋にしも あらなくに 虫の音聞けば まづぞ悲しき〕
秋は、自分のために来るのではないけれど、虫の音を聞くと、誰よりもまず悲しくなってしまう。
秋はなんとなく寂しい季節です。
それに物思いでもあったりすると輪がかかって、
夜長に虫の音を聞きながら、
ああでもないこうでもないと深みにはまってしまう。
秋は自分の悲しみを増すために来てるのではない、
なのに虫の音は、自分の胸にあったいろんな思いを湧き上がらせてしまう。
なんで、こんな自分を狙ってるみたいに秋は来るのだろうか。
「我がために 来る秋にしも あらなくに」・・・
よみ人知らずさん、
秋に弱いんですね。(笑) でも、どうしてそんなことになってしまうのでしょうか。
秋は、やはり感性が冴える季節、そういうことではないでしょうか。
敏感な人はまして感覚が冴えわたり、日頃感じないことにまでジーンと来てしまうのです。
ということは、紅葉や澄み切った月の光の美しさにも、いっぱい感動できるということです。
今は悲しい秋ですが、
心配しなくても秋も深まれば美しさに感激!! 気がつけば、
きっとそうなってるのではないでしょうか。(笑)
虫の音、月、紅葉、そして栗、ぶどう、さつまいも、・・・ いよいよほんとに楽しみな時節ですね。