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今月は

2013年 12月は

さ、さむいです。 いやーすっかり寒くなりましたね。 もうしっかりストーブの毎日です。 そしてついに12月。今年も最後になってしまいましたが、 今年の反省の前に、12月に入るとやはり色々することがありますね。 年賀状を書いて、ここ金沢では車をスノータイヤに履き替える時期ですし、 そして忘年会、大掃除は軽く済ませて、お正月の用意・・・ 最後は もう反省とかいう年齢でもないか、 となって終わるのが例年のパターンですが(笑) たしかに 世の中は大変なことがいっぱい。息災ならそれで感謝、ということですね。
今月の金花糖は、朝はまずストーブを点けて暖かくして、 庭の冬景色とともに静かな雰囲気でお待ちしています。 そして冬のメニューといえば定番はやはりぜんざいです。 暖まって、お餅はやっぱり元気がつきます。 金花糖のぜんざいは、手でペッタンペッタンついたお餅に、 餡は丹波大納言ですからほんとに美味しいです。 ぜひ12月は金花糖で、ぜんざいを食べながらゆっくりとしてくださいね。
では、この時節を詠んだ大江嘉言(よしとき)の歌です。

ひぐらしにやまぢのきのふしぐれしはふじのたかねの雪にぞありけ
〔日暮しに 山路の昨日 時雨(しぐれ)しは 富士の高嶺の 雪にぞありける〕

朝から夕暮れまで 山路の昨日 時雨があったのは 富士の高嶺の 雪であったのだ!!
時雨は、晩秋から冬の初めにかけての通り雨や、降ったり止んだりの雨を言います。 ありますね、そういう雨。特に寒いとそれがアラレになるかも。 ですから、ただでさえだんだん気温が下がってくる時節なので寒い頃なんですが、 時雨が降るともうほんとに寒々とした感じです。
嘉言さんは、昨日山路で時雨に遭って、寒かった寒かったで大変だったのだろうと思います。 そして今日、外を見てみると富士山に雪があった。 富士に初めて見えた雪だったのか、高嶺の雪が多くなっていたのか、それは分かりませんが、 いずれにしても昨日山路で降っていた時雨は、富士では雪になっていたのです。 嘉言さんは昨日は山路で大変だったけど、 あの時雨が富士の雪だったと思えたら、嬉しいとはちょっと違うと思いますが、 何か言いがたい感動があったのではないでしょうか。 それはきっと、日本人が持つ富士山への思いから浮かんだものだと思います。 「山路の昨日 時雨しは 富士の高嶺の 雪にぞありける」、 あくる朝、富士を見たら、自分に起きていた事が富士山につながった。 千年前、富士山に対する特別な思いが詠まれた歌ですね。
  次は、年の暮れの思いを詠んだ相模(さがみ)の歌です。 相模は平安の頃の女房です。紫式部とほぼ同じ頃の人です。

あはれにもくれゆくとしのひかずかなかへらむことは夜のまとおもふに
〔あはれにも 暮れゆく年の 日数かな 返らむことは 夜の間と思ふに〕

しみじみとした思いになる 暮れゆく年の これからの日数だなあ 年が返ろうというのは 夜の間と思うに。
最近はすぐ年齢の話になるんですが(笑) 年をとると ほんとに1日1日が大事だなーと思ってしまいます。 まして1年の終わりともなればなおさら色んなことを思い出して、不思議なものです。 年が変わるといっても、誰かが決めた1年の境い目ですから、 まさに普通に 「夜の間」 のことで、いつもの一日の終わりにすぎないはずなんですが、 またもや1年が終わると思うと、やはりあと何日あと何日と日を数えて、 しみじみとした気分になります。
相模さんも、「夜の間」 と思えば簡単な普通のことのようだけど、 年々そこに時の重みを感じるようになってきた、ということではないでしょうか。 「あはれにも 暮れゆく年の 日数かな」、 大晦日は夜の12時、来てみれば 「夜の間」 は、 まあ、あっさり過ぎて行きますね。(笑) さあ、今年もおしまい。 最後は元気よく、来年は、いっぱいいい事がありますように!!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087