今月は
2005年 6月は
草が、ほんとに青々としてますね。今は菖蒲とか花がすごくキレイですが、
その花が青々とした草の間に見える、そういう美しさの時節だと思います。
6月は梅雨です。そして金花糖も、いよいよ夏メニュー。
梅雨は湿度も高く、もひとつすっきりしない時節ですが、
わらびもちや、きなこアイスの夏メニューで、
心地よいゆっくりした時間をお過ごしくださいね。
さて梅雨、五月雨(さみだれ)は、紀貫之の歌です。
このごろは 五月雨近み 郭公(ほととぎす) 思(おもひ)みだれて なかぬ日ぞなき
<このごろは 梅雨が近づき ほととぎす 思い乱れて なかぬ日はなし>
この「ほととぎす」は、自分のことでしょう。
梅雨の長雨を見ていると、心に持っている物思いが、
なぜかどんどん募ってきていつのまにか憂鬱な気分になってしまう。
ということは今年もきっと!
それを思うと、梅雨が近づいたと感じるだけで心は思い乱れてしまう。
梅雨近しという気分が、ほんとにピタッと焦点が決まったように
歌われています。さすが紀貫之!と思いますね。
梅雨といっても、和泉式部ならやはり恋の歌です。
雨の降る日、何するともなく眺めていて、
昔こころ惹かれた事などを言いました人に、と前書きがあって
おぼつかな たれぞ昔を かけたるは ふるに身を知る 雨か涙か
<逢いたいと 誰かに過去を 語りしは 経(ふ)る我が身知る 雨か涙か>
深いです! 「たれぞ」は相手の、昔こころ惹かれた人、
わざとちょっと外して言ったのでしょう。
「ふる」は「降る」と、時が経つの意の「経る」の掛けことば。
「身を知る」は、我が身の運のつたなさを思い知る。
梅雨、ぼんやり雨を眺めている時に、フトあの元カレに逢いたくなった。
そして時の流れの中で感じた、我が身を語りたいと思った。
「雨か涙か」の我が身を。
和泉式部の、絶唱ですね。