今月は
2013年 3月は
今年の雪は、東北、北海道は大変な大雪ですが、金沢はわりと普通でした。
それでも先月も末の寒波は、ほんとうに寒かったです。そして、ついに三月ですね。
三月と聞くと春、やはり嬉しくなります。
寒い日があっても、雪が降っても、もう三月だからと思えば、どうということはありません。
でも金沢では、ほんとに三月に必ずといってよいほど雪が降ります。
そしてなぜか毎年、
「三月なのに雪が!!」 とニュースになります。(笑) それほどに
三月といえばもう春で、雪が思い浮かばないのでしょうね。
さあ、今月雪は降るんでしょうか、と三月らしくない話題になりました。(笑)
金花糖も今月は、冬眠からの目覚め月。
元気も出て、おひな様をかざり、特別メニューに、ひなまつりパフェをしまして
春らしく行きたいと思います。
ひなまつりパフェは、短冊に切ったスポンジケーキに金花糖の餡や苺が添えられた、
毎年大好評のメニューです。
スポンジケーキは自家製のもので、
そのしっかりした味わいを生かしたパフェになっています。
ぜひ今月は金花糖で、ひなまつりパフェをご賞味くださいね。
では、梅を詠んだ伊勢の歌です。前書きがあります。
水のほとりに、梅の花が咲いていましたのを詠んで
春ごとにながるる河を花と見てをられぬ水に袖やぬれなむ
〔春ごとに 流るる河を 花と見て 折られぬ水に 袖や濡れなむ〕
春ごとに 流れる河を 花と見て 折ることができない水に 袖が濡れるのだろう。
梅の水に映っている姿が、ほんとに美しいと思ったんですね。
水に映る梅のあまりの美しさに、春が来るごとに、
ついそれを折ろうとして袖を濡らすことになるだろう。
もちろん、現実にそんなことはないでしょう。でも美しさに感動まですると、
それを称える言葉は現実を越えたものになるのです。
ロメオは、月の夜、窓から顔を出したジュリエットを見て思います。
あなたが月より遥かに美しいので、月は病んで青白くなっている・・・
そんなことはありえない、それはよく分かっているのです。
でも感動すると、そこまでも思うのです。
水に映る梅を折ろうという人は現実にはいない。
でも、そんな人がいても不思議ではないと思うほどに、美しいと思ったのでした。
それにしても、そこまで映る姿が美しいと思ったのは何故でしょうか。
それは想像するしかないのですが、一つは河の水が今では有りえないくらいきれいだった、
まさに濁りなく透きとおった水だったのだと思います。
もう一つは、その梅の木は傍で見る以上に、水面の方から見るのが
ほんとに美しかったのだろうと思います。
だからこそ、水に映った梅に惹かれたのではないでしょうか。
「流るる河を 花と見て 折られぬ水に 袖や濡れなむ」 浮かぶ情景がほんとに美しいです。
水に映っていた梅の美しさ、その感動を見事に詠んだ歌ですね。
次は、よみ人しらずの歌です。
吹く風にあらそひかねてあしひきの山の桜はほころびにけり
〔吹く風に 争ひかねて あしひきの 山の桜は ほころびにけり〕
吹く風に 逆らい続けられなくて あしひきの 山の桜は 蕾がひらいたよ
「あしひきの」は山の枕詞です。
春が来て、だんだん風は寒くなくなって、そして暖かい風が吹いてきた。
冷たい風に固く閉じていた蕾も、春の風に負けて、ついにほころんだ。
来ましたね。いよいよ桜です。
桜の開花といえば、今は、何日頃かというのは大体分かっています。
でも昔は、暦が1年に10日ほどもずれて、
それを29日とか30日間の「うるう月」を入れて季節と暦のズレを合わせる、
そういうものでした。
だから桜が毎年何日頃に咲くとかということは、あんまりあてになりません。
開花予報なんてものもないですから、昔の人は、蕾を見て、
まだ堅いとか、少しだけ膨らんだとか、
そうやってほんとに楽しみにしていたのだろうと思います。
蕾は手で無理に開いてもどうにもなりません。
でも暖かくなれば自分から、まさに自然に開きます。
人は、春が蕾を開かせてくれるのを待つしかありません。
いつ、春の風が堅い蕾を開くのだろうか。
「吹く風に 争いかねて あしひきの 山の桜は ほころびにけり」、
開いた!! 春が蕾を開かせた!! 蕾を見ながら、まだかまだかと待っていた、
まさにそんな思いが伝わる歌ですね。
さあ、春が来ます。明るい時節です。
楽しいことがあって、いいことがあって、そんな春が来てほしいですね。