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今月は

2009年 2月は

さ、さむいですね、外へ出ると。大寒はやはり違います。 地球温暖化という話を聞くと、冬はやはりしっかり寒いのがいいのだとは思うのですが、 ついつい外へ出るのが億劫になってしまいます。 でも今月はいよいよ節分です。4日が立春。 だんだんと、外へ出易い時節になってきますね。
今の時節は、金花糖のメニューでは、やはりぜんざいがオススメです。 金花糖のぜんざいは、手搗きのお餅に丹波大納言の小豆です。 伸びのしっかりしたお餅に、小豆の味がたっぷりとして本当に美味しいです。 暖かい室内から雪景色を眺めながら、ぜひご賞味くださいね。
では、雪の歌です。千年前の女房であった小弁(こべん)が詠みました。

あまのとのあくる空かと見えつるはつもれる雪の光なりけり
〔天の戸の あくる空かと 見えつるは 積もれる雪の 光なりけり〕

「あくる」は、「開くる」と「明くる」の二つの意を表わしています。 天の戸が開き夜が明けて、空が明るくなったかと見えたのは、積もった雪の光だった。
雪が積もると窓の外が明るいですよね。 ここ金沢では、それはほんとに感じます。 金沢の1月2月というのは、晴れの日が月に数日、10日もないのが普通です。 いつも、どんよりとした空なのです。 今日は外が明るい!! と思って窓をあけると、真っ白に雪が積もっているのです。
でも、雪が降ってるだけでは窓は明るくありません。 積もると、真っ白になって窓も明るくなります。 小弁さんの歌も、「積もれる雪の 光なりけり」と、様子を正確に描いています。 そして、天の戸が開いた光かと思ったら、地に積もった雪の光だった!! と詠みました。 正確で大きい、ほんとに素敵な感性ですね。
次は、藤原家隆の歌です。

はなをのみまつらん人に山ざとのゆきまのくさの春を見せばや
〔花をのみ 待つらん人に 山里の 雪間の草の 春を見せばや〕

この「花」は桜でしょう。桜はまだまだ、だから春もまだまだ、そう思っている人に見せたい。 山里の積もった雪の、少し溶けたところに草が生えてます。ここに、春が来ています。
素晴らしいですね!! 春の訪れの喜びは、 目立たなくとも健気な「雪間の草」にこそ見えている、 そういう思いから詠まれたのでしょう。
春は積もった雪の下に、少しづつ来てるんですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087