バックナンバー

今月は

2004年 2月は

先月の雪はすごかったですね。大丈夫でした? 今年は雪の少ない年かと思っていたのですが、20日すぎ、 大寒になったとたんの大雪で、金花糖も三四日ほどはお店も開けず、 雪篭りでした。
今月は、3日が節分となって立春が4日ですから、 冬も少しづつ緩んできますよね。でもまだまだ寒い。 また暖かいお餅のメニューなど を、楽しんでいただければと思います。その、金花糖のお餅を搗いて いる方なんですが、もともとは、金沢のある老舗の料理屋さんだけに 搗いていた方なのです。縁があって金花糖でも、その方の お餅を使うことができました。金花糖のお餅が美味しいと言っていただける のは、やはり職人さんが、ぺったんぺったん搗いたお餅だからだと思っています。
さて、雪の情景が詠われている歌を。

夢通(かよ)ふ 道さへ絶えぬ 呉竹の 伏見の里の 雪の下折れ

<夢の中で通う、道さえ絶えてしまった。伏見の里の呉竹の、雪に折れる音>

「雪の下折れ」は、雪の重さで枝が下に折れること。雪が積もると、 いろんな音の響きが消え、しいんとした世界になってしまいます。 そんな伏見の里の、雪景色の中で、思う人に逢う夢に入っていたのです。 そして、静かな雪の中で突然、竹がしなり折れる、鋭い響き。 夢も、思う人に通う路も絶えてしまった。
恋の結末よりも、その情景の美しさに酔う、藤原有家、一代の傑作です。
次は、清原深養父(きよはらのふかやぶ)の歌です。

冬ながら 空より花の 散りくるは 雲のあなたは 春にやあるらむ

<冬でありながら空から花が散ってくるのは、雲の向こうは春なのだろうか>

降る雪は、まるで花のようだ。空から、こんな花が降るということは、 雲の上にはきっと春があるからだ!深養父さんは、 雪は、次に来る季節の兆しだと閃いたのです。 すごい素敵な閃きです。この閃きが、曾孫にまで受け継がれたのかもしれません。 その曾孫が、清少納言となります。
雲のかなたから、少しずつ春が来ています。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087