今月は
2007年 5月は
5月は、爽やかなほんとに気持ちのいい月ですね。
熱過ぎず、寒過ぎず、ここ金沢でも今月がストーブを片付ける月になりそうです。
日差しと緑が戻ってきたところで、祭日もいっぱい!
そんな意味でも、嬉しくなるような月ですね。
金花糖では、今月は端午の節句ということで、兜を飾りました。
庭の明るさとともに、5月の気分がいっぱいです。
季節メニューも今月は合いのメニューで、白玉ぜんざい(温かいの)となっています。
ぜひご賞味くださいね。
では、この時節の山吹の景色を詠んだ、紀貫之の歌です。
吉野河 岸の山吹 ふくかぜに そこの影さへ うつろひにけり
《吉野川 岸の山吹 吹く風に 底の影さえ 散りゆきにけり》
吉野川 は大和の国(今の奈良県)を流れる川です。
清流として知られていました。
千年以上前に清流として名高い川ですから、
今では考えられないほどに透明な、深い底までくっきり見えるような水だったでしょう。
そんなきれいな水に写る山吹の黄色、それはとても美しいものだったでしょうね。
先日ふと気がつくと、近くの小川の水がすごく透明で気持ちよく見えました。
なぜ今までより透明に見えるんだろーと思ったのですが、
やはり日も少しずつ高くなって、光が明るくなってきて、
底までキレイに見えるようになったからなんでしょうね。
吉野川の清流も、今の時節はそれまでに増して、
透き通った水に見えたのではないでしょうか。
山吹も、まるで鏡に写るように上下対称になって、
想像しただけでもほんとに美しいです。
山吹が吹く風に散って行きます。
「うつろひ」には散るという意に、(水に)映る意も掛かっています。
鮮やかな黄色が、まさに上も下も同時に、
上下対称の形にぱらぱらと散ってゆくのです。美しいですね。
そして紀貫之さんは、透明な水の底に見える山吹までも、
散っていくのが惜しいと思ったのです。
「吹く風に 底の影さへ うつろひにけり」
山吹の黄色、吉野川の透き通った水、
そしてこの季節の爽やかさが感じられる、素晴らしい歌ですね。
次は、和泉式部の歌です。
岩つゝじ 折もてぞ見る せこが着し くれなゐ染めの 色に似たれば
《岩つゝじ 折り持って見る 君が着た くれない染めの 色に似てれば》
岩つつじというのは、岩のあたりに咲くつつじのことです。
ふと見た岩つゝじを、手に持って見つめてしまった。
あの人が着てた色だ!!
素敵な歌ですねー、それ以上言葉が出ないほど!!
とにかく、和泉式部の歌はこの時節でも熱いです。
つつじということは、カレは赤系の色の服を着てたわけですね。
この歌から、赤が浮かんでくるということも、和泉式部の熱を感じてしまいます。
でもこんな熱さなら、見習えるものなら見習いたいものですね。(笑)
爽やかな時節です。熱い恋はなくとも(笑)、いっぱい楽しみたいですね。