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今月は

2020年 12月は

今年もおしまいまで来てしまいました。 いやーこんなことになるとは、大変な年でしたね。 来る年は、できるだけ穏やかであるようにと祈りたいです。
今年は金花糖は、本当に皆様のお蔭をもちまして、 開店から20年を経まして21年目を迎えることができました。 それとともに気が付けば歳もとりました(笑) 皆様のお声に元気づけられて、 今年もなんとかここまで来ることができました。 本当にありがとうございました。

さて12月の金花糖は、冬はゆったり静かな雰囲気です。 あれこれ気ぜわしい十二月、庭の冬景色を眺めて、 静かにくつろがれてはいかがでしょうか。 冬のメニューといえば、やはり定番はぜんざいです。 なんといってもお餅は体が暖まって元気も出ます。 金花糖のぜんざいは、職人さんが手でペッタンペッタンついたお餅です。 そして餡は丹波大納言ですから、ほんとに美味しいです。 今月はぜひ金花糖で、ぜんざいをご賞味くださいね。
では、藤原良経(よしつね)の歌です。歌の題があります。

   年の暮の雪
ゆきつもるこずゑにくもはへだつれどはなにちかづくみよしののやま
〔雪積もる 梢に雲は 隔(へだ)つれど 花に近づく 御吉野の山〕

雪の積もっている 梢に、雲は隔てているけれど 桜に近づいている 御吉野の山。
吉野の山は桜の名所です。また旧暦の年明けはほぼ立春になります。 梢には雪があって、雲は春を隔ててまだ冬の眺めだけど 吉野山は桜に近づいたように見えるなーという思いです。
やはりもうすぐ新春と思って見ると、雪もふわふわと花の前兆のようだし、 梢も吉野山全体も何か春っぽいと感じたのですね。 まあそれはそう思って見るからもあるんですが、 昔は、自然が普通に廻ってくることが何よりありがたいことでしたから、 一年の終わりを、おめでたく詠んで締めくくるということでもあります。
でも昔の人は花や山や雲など、今よりも自然の移り変わりを敏感に感じていたと思います。 今のような気象情報なんてありませんから、ひとりでにそうなるのでしょう。 立春のころでも、桜は何も起きていないようですが、 冬芽がどんどん伸びてきていることは確かです。 またまだ寒くても、立春には日の高さは春の光ですから物の見え方は春っぽくなるはずです。 山を見て、そういう変化も何か感じたのではないでしょうか。
また昔は桜は山に見に行くものでした。山桜がいちばんでした。 ですから山を眺めると自然に桜が浮かぶのです。 吉野山ならば、もう輪をかけてということになります。 歌を詠んだ良経さんは、今年も終わりと雪の吉野山を眺め、 桜の兆しを感じて一年を締めたわけですね。 「雪積もる 梢に雲は 隔(へだ)つれど 花に近づく 御吉野の山」、 まあ、世は色んなことがあっていいことばかりではないですが、 花を楽しみに新しい年を待つ、そんな気持ちで年を越したいものですね。
さあ、年越しです。今年はお疲れ様でした。 来年はほんとにほんとに良い年になりますように !!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087