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今月は

2010年 12月は

寒暖はありますが、もう寒い日はほんとに寒いですね。
ストーブも、いっぱい燃えているーという音になっています。 冬ですねー。 でもそうこう言ってるうちに、いよいよ12月が来てしまいました。 仕事でなんとか今年中にやらなければならないこととか、 忘年会、クリスマス、 いろいろやっているうちに、 年賀状も書かなければとかなって(笑) やっぱりいろいろある月ですね。
でも金花糖は、冬のゆったりとした雰囲気でお迎えいたします。 今月はそんなゆっくり感いっぱいで、ぜんざいはいかがでしょうか。 ほっこりした味の金花糖の餡と、手搗きのお餅でほんとに美味しいです。 今月はぜひ金花糖で、ぜんざいを味わいながら、 ゆっくりした時間をお楽しみくさいね。
では、初雪を詠んだ小大君(こだいのきみ、こおおぎみ)の歌です。 前書きがあります。
初雪の朝に、昔のことを思い出して

めづらしといふべけれどもはつゆきのむかしふりにしけふぞかなしき
〔珍しと 言ふべけれども 初雪の 昔ふりにし 今日ぞ悲しき〕

《珍しと 言うべきだど 初雪の 昔にあった 今日は悲しい》

「昔ふりにし」の「ふり」は、経り、旧り、降りと意味が掛かっています。
昔の思いが蘇ったのですね。 人の記憶というのは不思議です。 普段は眠っていても、何かを見た、聞いた、 あるいは匂い、触覚、あるいは味覚から、 突然蘇る記憶というのがあります。 小大君さんは初雪でした。
それがどんな初雪なのか、それは想像するしかありません。 でも初雪ならなんでも、というわけではないでしょう。 小大君さんは昔の、あの朝の初雪を見たのです。 珍しと 言ふべけれども・・・
「珍し」の昔のもともとの意味は今と少し違っていて、 ほめたたえたく思い、強く引きつけられる、という意味なのです。 思うに、雪が積もれば、世の景色は一変します。 それが初雪で、しかも朝起きて外を見てみたら、となれば 薄っすら積もっているだけでも、おお!! という感激があります。 思わず、引きつけられるように見てしまいます。 小大君さんのあの朝の初雪は、ぱらぱらと降っているだけの雪ではなくて、 きっとそんな初雪だったのではないでしょうか。
あの初雪だ、という思い・・・ 「初雪の 昔ふりにし 今日ぞ悲しき」、 いろんな想像が浮かんでくる素敵な歌ですね。
次は、年の暮れに詠まれたよみ人しらずの歌です。

いつしかと山の桜もわがごとく年のこなたにはるをまつらん
〔いつしかと 山の桜も 我がごとく 年のこなたに 春を待つらん〕

《まだかなと 山の桜も 自分のように 年のこっちで 春を待ってる》

素敵ですねー。 よみ人しらずさんの新しい春を待ち望んでいる気持、 そこからどんどん想像が広がって、山の桜もきっと自分と同じ気持でいるのだろう。 だから桜もまだ年の明ける前から、つまり年のこちらの方から、 まだかまだかと春を待ってるのだろう、 そんな思いが浮かんだのです。
年を越すというのはあくまでも暦の上のことにすぎないのですが、 でもやはり、一つ歳を取るとか(笑) いろんな思いが浮かんできます。 よみ人しらずさんの歌は、新しい春を待つ気持をいっぱいにして、 自分が桜と一緒に年を越して行くような、そんな感覚になるのです。 何か嬉しいですね。 「山の桜も 我がごとく 年のこなたに 春を待つらん」・・・ きっとそうですね!!
さあ、今年もおしまいです。 水に流せるものはみんな流して(笑) 素敵な桜の春が来ますように!!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087