今月は
2009年 8月は
梅雨が明けないですねー。
いろんな影響が心配です。
それに湿度が高いと、体も疲れが溜まったような感じです。
加えて今年は選挙となりました。
疲れてる時なんかに大きな音で来られると、
しんどさにも輪がかかりそうで、今年はほんとに大変かもしれません。
体調に気をつけて、冷たいものを食べ過ぎないように注意ですね。
と言っておきながら、
夏のメニューといばやはり氷です。(笑) 金花糖の氷の特徴は、
なんといっても餡の美味しさです。
冷たーい氷に、餡がとても美味しいです。
氷金時と、氷宇治金時、暑い日にはぜひ金花糖で、氷をご賞味くださいね。
では、夏を詠んだ紀貫之(きのつらゆき)の歌です。
夏山の影をしげみやたまぼこの道行く人も立ちとまるらん
〔夏山の 影を繁みや 玉鉾の 道行く人も 立ち止まるらん〕
夏山の葉がいっぱいに繁って、影が大きく広がっているので、
道行く人も立ち止まって休むのでしょう。
暑い夏の情景なのですが、辛い大変という感じではなくて、
何か落ち着いてゆったりした感じがします。
そんなゆったり感がとてもいいですね。
実は、この歌は実際の景色を詠んだのではなくて、
ある方の四十歳のお祝いの、屏風の絵に添えて書かれたものでした。
その頃は四十歳から、五十歳、六十歳と10年ごとにお祝いをしました。
いま日本の平均寿命は八十代ですが、平安時代の平均寿命は、推定ですが、
なんと三十代だったのです。
年をとってからの一年一年が、今よりずっと重いものだったのです。
ですから十年ごとのお祝いは、とても大事なものでした。
そして、お祝いの一つとして作られたものが屏風でした。
屏風には絵が描かれ、長生きできますように、
繁栄しますようにという思いを込めて、縁起のよい歌が詠まれたのです。
今は縁起のよい言葉といっても、
正直なところあんまり信用していません。(笑) その頃は違います。
縁起のよい言葉は、現実を動かす力がありました。
運命にかかわるようなものだったのです。
ですからそんな屏風歌は、とにかく歌の上手な人に詠んでもらうのです。
その第一人者が紀貫之でした。
夏山に葉がいっぱいに繁る、それは元気で長生きとか繁栄を意味しています。
道行く人も立ち止まって休む、
それはそのお蔭で多くの人が恵みを受けることを意味しています。
「夏山の 影を繁みや 玉鉾の 道行く人も 立ち止まるらん」、
暑い夏も、ここはゆったりと安らか、そんな趣がとても大事だったのです。
貫之さん、さすが上手いものですね。(笑)
次は、夏の夜に詠まれた式子内親王(しょくしないしんのう)の歌です。
詠むれば月はたえ行く庭のおもにはつかに残るほたるばかりに
〔眺むれば 月は絶え行く 庭の面に はつかに残る 蛍ばかりに〕
庭を眺めていると、雲に入ったのか、月の光が消えて行く。
庭の地面に蛍の火だけが、かすかに残った。
夏の夜、この歌の主役は光です。
照らされていた光が、何かが絶えるように消えていった。
そして残ったのは、かすかに飛ぶ光だけ。
美しいですね。
でもこの歌は、それだけではないような気がします。
この光の情景が式子内親王さんの秘めた思いに、
何か突きささるようなものがあったのではないでしょうか。
秘めた思いが何かは分かりませんが、
蛍の光は、心が燃えている火、恋の思いの火として見られるものなのです。
私の心にあった明るい光は、絶えてしまった。
「はつかに残る 蛍ばかりに」、
もうかすかな光しかない・・・ 消え入りそうに燃える火は私のようだ・・・
光のドラマに秘めた恋、すごい歌ですね!!
さあ、暑い夏。秘めた恋は無くとも(笑) なんとか元気に乗り切りたいものですね。