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今月は

2014年 2月は

寒いですね。 でも、ここ金沢では雪はそれほどは降ってません。
積もるは積もるんですが、 今年は降る、多いという予想を聞いてたので、 実は車のスタッドレスタイヤを新しいものに交換したのですが、 ちょっと拍子抜けでした。(笑) でも雪かきは体にこたえますから、 拍子抜けでもよかったと思います。スキー場とか水不足の心配がない程度に降れば、 やはり雪国の人は基本的にそう思うのではないでしょうか。
さて今月は、3日が節分、4日が立春です。 今まではだんだん寒くなってきましたが豆まきをして春を迎えれば、 今からは少しずつ暖かくなっていくわけで、楽しみにしたいですね。
今月は金花糖も、まだ冬ごもりのような静かな雰囲気です。 こんなときのおすすめは、やはりお餅メニューで、焼餅トリオはいかがでしょうか。 焼き餅トリオは、職人さんが手でペッタンペッタンついたお餅を使って、 それを三種の味わいで組み合わせたメニューです。 おなじみの海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこを使ったあべかわ、 そして抹茶味と、三種の味わいがセットになっています。 ストーブが暖かい部屋から、庭の雪見をしながらゆっくり気分で、 ぜひ焼き餅トリオをご賞味くださいね。
では、冬を詠んだ藤原良経(よしつね)の歌です。

くもふかきみねのあさけのいかならむまきのとしらむゆきのひかりに
〔雲深き 峰の朝明(あさけ)の 如何ならむ 真木(まき)の戸白(しら)む 雪の光に〕

雲深い 峰の明け方は どんなだろう。 真木の戸がしだいに明るくなる 雪の光に。
雪の夜明け、今は晴れてるのかも。 まだ暗い家の中に雪の白い光が漏れている。静かな雰囲気ですね。
「雲深き」は、雲が山などに掛かって、雲の中に深く入らないと行けない、 雲の奥深くにあるという意です。 雲は自然現象としては霧と同じものですから、もやっとした中の奥の深遠な所で、 仙人がいたりするのはやはり「雲深き」ところです。 まあ、仙人が一年中雲深い処にいるのかどうかは知りませんが。(笑)
真木は、優れた木の意で、堅くて強い檜や杉など建材になる木を言います。 その真木の戸の隙間から、白い光が射している。 雪が降った朝ですね。
雪の夜はほんとに静かです。 だから、つい降っていない、晴れていると思ってしまうことがよくあります。 朝起きても明るいのでますますなんですが、 でも気がつけば窓からの光が違う。 前から積もっていても、新しく降った雪の光はやはり違うような気がします。 良経さんは、戸から漏れる光に気づき、そしてあの深遠な山の夜明けはどんなだろうか、 と思いが行った、その時を歌に詠んだのです。
ほんとは見てがっかりだったのかも (~o~) それはほんとは分かりませんね。(笑) でも小野小町さんも描くなら後姿ですから、 やはりこの歌も、峰の明け方を想像するところまでにしたのが、 良経さんのセンスではないでしょうか。 「雲深き 峰の朝明(あさけ)の 如何ならむ」、 見たのは戸から漏れる光だけです。光から雪を思い、そして雲深い峰を思った。 冬の夜明け、静かなそして深遠な雰囲気が広がる歌ですね。
次は、清原深養父(ふかやぶ)の歌です。 前書きがあります。

明日が立春となる日、隣の家の方から風で雪が吹き越して来るのを見て、隣へ詠み送りました。

冬ながら春の隣のちかければなかがきよりぞ花はちりける
〔冬ながら 春の隣の 近ければ 中垣よりぞ 花は散りける〕

冬とはいいながら 春はもう隣で 近いから 境の垣根の方から 花が散ってきましたよ。
お隣さんからこんな歌が贈られてくる。洒落てますね。
ほんとに、立春といってもまだまだ冬です。 お隣から雪も吹き込んでくるでしょう。 でも明日から春と思えば、雪も花の気分です。 たしかにその頃から日は長くなってきて、 気がつけば春の日差しに近づいているのです。
それにしても昔のご近所付き合いというのは、趣のあるものですね。 でも素敵な歌をいただいて、もらった方はどうするんでしょうか。 たいていはお返事の歌を詠んで返します。 ということは、歌が浮かばなかったら大変、 どうしようということになります。(笑) ところでこの歌のお返事は残っていません。 ということは、詠んだけどあまり上手ではなかったのかもしれませんね。(笑) 「春の隣の 近ければ 中垣よりぞ 花は散りける」、浮かぶ景色が優雅ですね。 そして、もうすぐ春ですよとお隣さんと歌を交し合う。 ご近所付き合いもまた優雅、そんな素敵な歌ですね。
さあ、まだまだ寒いです。体調には気をつけていきましょう。春はもう隣、のはずです。(笑)

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087