今月は
2013年 2月は
毎日寒いですね。
ストーブのある部屋から戸を開けると、さぁーっと冷たい空気が来て、
血圧が上がるというのも分かります。(笑) 当然ですが
夏は冷房で逆だったわけですから、
自然の四季というのはやはり大変なものですね。
今年は雪は東京とかが大変だったみたいで、
ここ金沢では雪かきも
さほど大仕事にならなくて・・・ と思ってたんですが、
先月の末、大寒が来たと思ったら、どさっと来てしまいました。
やっぱり大寒なんですね。
雪かきは、腰はもちろん肩にも来ますから(笑) なんとか早く春が来てほしいです。
金花糖も今月は、静かな雪の雰囲気です。
こんな時節のおすすめは、やはり温かいぜんざいでしょうか。
金花糖のぜんざいは、丹波大納言の餡に、手つきのお餅です。
手つきのお餅は、伸びにしっかりと力がありますし、
餡は、小豆の味がたっぷりで本当に美味しいです。
暖かい室内から雪景色を眺めながら、
今月は金花糖で、ぜひぜんざいをご賞味くださいね。
では、冬を詠んだ藤原季通(すえみち)の歌です。
さえわたるよはのけしきにみやまべの雪のふかさを空にしるかな
〔冴えわたる 夜半(よわ)の気色に 深山辺(みやまべ)の 雪の深さを 空に知るかな〕
どこも冷えきった 夜更けの様子に 山深いあたりの 雪の深さを 空に知るのです。
この歌の感じは、北陸で生まれ育ったせいかよく分かります。
ほんとに一面にずうっと向こうまで冷たい、冷え切ったと感じる夜があります。
空のずっと高いところから冷たい何かで包まれたような感じです。
雪が来るぞと思います。そしてもう山は降っているのです。
雪の深さですが、山が多いのはもちろんですが、
平地であっても山に近い方に行くとやっぱり多くなりますね。
こんなに違うのかと思うことがよくあります。
そんなことも含めて、夜半に冷え込む空の気配を感じて、
雪だ、山は深いぞとか思いが走る、
それは十分にあることと思います。
歌を詠んだ季通さんは昔の貴族ですから京都ですが、
京都は内陸なので、温度差が激しく冬の夜は冷えます。
でも、今夜は冷え方が違う、そんな夜だったのだろうと思います。
「夜半の気色に 深山辺の 雪の深さを 空に知るかな」、
通季さんの感性と趣の深さを感じます。
冷え切った、夜の気配が詠まれた歌ですね。
次は、九条良経(よしつね)の歌です。
ゆききゆるかれののしたのあさみどりこぞのくさ葉やねにかへるらん
〔雪消ゆる 枯野の下の 浅緑 去年(こぞ)の草葉や 根に帰るらん〕
雪の消える 枯野の下の 浅緑 去年の草葉がきっと 根に帰るのだろう。
草葉の緑の色は、季節によって違いますね。
春の生え始めの頃は緑も淡いのですが、
夏に成長するとともにだんだん濃い緑になります。
そしてついに秋から冬には枯れ、茶色になってしまいます。
雪が積り、真っ白になっていた野原。
その白い雪が溶けると、茶色の枯れ野が現われ、
そしてその下には、浅い緑色の葉が見えた。
草葉の終わりの色の中に、生え初めの色が見えて、
何か自然の循環、そういう思いが浮かんだのだと思います。
そして、枯野の下に現れた浅緑の色は、まさに春を告げるものです。
草葉の再生を感じた喜びと、それをもたらす春の到来。
その浅い緑の色は輝くように見えたのではないでしょうか。
「枯野の下の 浅緑 去年の草葉や 根に帰るらん」、
浅緑の色に、春そして自然の大きな流れを思った歌ですね。
さあ、まだまだ寒いけど、すこしづつ春がやって来ます。
暖かい春に、いいことが待ってるといいですね。