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今月は

2022年 11月は

カレンダーもあと2枚です。 やっぱりなんとなく寂しいものですね。 そしてだんだんと冷えて来て、 まさに晩秋の趣きいっぱいというところです。 いよいよ暖房も本格的に必要になってきます。 こうなるとここ金沢では今年の雪は大丈夫だろうかとか、 ついつい体調も不安になったり何でも心配になってきます。 でも、ここは早々と気持ちで負けないようにしたいもの。 晩秋は紅葉も十分に楽しんで、 元気元気で冬に向かっていきたいですね。 冷えてくると魚も美味しいですし(笑)
金花糖も、今月からは温かいお餅メニューということで、 季節メニューに、ぜんざいと、焼き餅トリオを始めます。 お餅のメニューはもちろん餅が主役です。 金花糖の餅は、職人さんが手でぺったんぺったんついたお餅です。 手つきの餅ですから伸びに力があって、とても美味しいです。 だんだんと冷え込んでくると、お餅は体が暖まって元気も出ます。 今月はぜひ金花糖で、 ぜんざい、 焼き餅トリオのお餅メニューをご賞味くださいね。
では、秋の紅葉を詠んだ藤原清輔の歌です。

春ながらとしはくれねと思ひしは紅葉みるにぞくやしかりける
〔春ながら 年は暮れねと 思ひしは 紅葉見るにぞ 悔しかりける〕

春のこのままで 一年が暮れてほしいねと 思ったことが 紅葉を見るにつけて 後悔せずにいられない気持になるよ。
これは確かに分かるようなです。 春が来るともう寒くない、桜が咲いたと、 とにかく気分は高揚します。 しかし、春の花に変わるものもないでしょうが、 秋の紅葉に変わるものもありません(笑) そして基本的に人は移り気です(笑) 春にはこんないい季節はないねとか思うんですが、 秋になればなったで落ち着いた秋の趣き、そして美しい紅葉にやっぱり秋だなーと f(^_ ^;)
ところで、こういう時に夏や冬の話は出てきません。 それは今の我々の想像以上に、 貴族といえども夏や冬の生活が大変だったからと思います。 貴族の家は、床が高くて天井がなく上が高く空いていました。 そんなところに暖房は炭火だけでした。これは寒いです。 冬は衝立などで火のまわりを囲って、服を10枚とか着込んで過ごしていたのです。
そしてそんな夏向きの家でも、夏は暑くて大変でした。 貴族の女性は室内では上は目のあらい薄もの一枚、シースルーでした。 しかもそれでも暑くて服はわりと緩く着ていたようで、 服の開いたところから色々見えました(笑) 昔の物語には、 乳首の黒みが見えて妊娠が発見されたという話もあります f(^_ ^;) まあ夏冬は、 趣きを楽しむ余裕が春秋のようには持てなかったということでしょうか。
この清輔さんの歌は、春にもう他の季節はいらないと思ったことを秋に悔やむわけですが、 春の魅力は冬が明けた気分で高まるのに対して、 秋の魅力は、冬までもうこれで最後という思いで高まるのではないでしょうか。 しかも最後の最後に紅葉が来るのです。 「春ながら 年は暮れねと 思ひしは 紅葉見るにぞ 悔しかりける」、 この歌の続きは、もうすぐ冬、 華やかな色はこれで最後だなーという思いなのでしょう。 春を思い、秋を思い、一年の巡りを思う、素敵な歌ですね。
さあ、秋も終盤です。 これでおしまいということですが、でも秋はおしまいがいちばん綺麗です。 秋のここはぜひ堪能しておきたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087