今月は
2024年 8月は
大暑です。二十四節では、この大暑が過ぎるとすぐ七日がもう立秋となります。
ずいぶん早い感じですが、冬でも大寒の次が立春ですから理屈は同じわけです。
また昔から、暑さ寒さも彼岸までと言って実際これはよく当たります。
お彼岸の中日は春は3月20日で、秋は9月22日。
すると立春や立秋から1か月半はまだまだ暑さ寒さが続くということで、なるほどです。
先は長いですが、出来るだけ体にいいものを食べて、運動も怠らず体調を整えて乗り切って行きたいですね。
金花糖も、今月はもちろん夏メニューです。
夏メニューでの一番人気と言えば、毎年大好評の氷宇治金時です。
金花糖の氷宇治金時は、餡は丹波大納言、抹茶蜜は抹茶の深い味わいがしっかり生かされたもの。
とても美味しいと毎年大好評です。
また氷金時は、餡の上品な味わいが特徴の氷です。
これもとっても美味しいです。
暑い夏はぜひ金花糖で、氷金時、氷宇治金時をご賞味くださいね。
では、夏衣(なつごろも)を詠んだ九条良経(よしつね)の歌です。
かさねてもすずしかりけり夏衣うすき袂にやどる月かげ
〔重ねても 涼しかりけり 夏衣 薄き袂(たもと)に 宿る月影〕
重ねても 涼しいですね 夏衣 薄い袂に 映り重なる月の光。
一見、ん?という歌ですが、
薄い夏衣の袂に、月の光を当てて見てみたら、という歌です。
昔は夏衣は薄い単(ひとえ)や、シースルーのような織り方の紗(しゃ)や絽(ろ)で作りましたから、
別の布を重ねると二つの色が混ざって見えます。
そこで、夏衣に月の光を重ねてみたら、と粋に詠んだわけです。
月の光なら重ねても涼しいでしょう。
なかなか凝ったというか洒落た歌ですね。
暑いのは今でもほんとに大変ですが、昔はもちろん冷房がないわけですからそれは大変です。
ただ帝や皇太子のもとには、氷がなんと毎日、山の氷室から送り届けられていたそうです。
すごいですね。ですから氷は超貴重品としてならあったようですが、
それでも古気候学によれば、平安の後期は今よりももっと暑く、
海水面も高かったそうですから、もうほんとに大変です。
昔の絵をみても貴族といえどなかなか大胆なものを着ていたようです。
こういうシースルーの服を着ている様子は、 国宝の源氏物語絵巻にも描かれてますし、家の中では普通にあったようです。 思うに、歌を詠んだ良経さんは、 暑いときに夏衣を着てやっぱり涼しいなーとか袂(たもと)を透かしてなんとなく見ているうちに、月の光がその薄い単(ひとえ)を通して見えて、はっとこの歌が浮かんだような気がします。
「重ねても 涼しかりけり 夏衣 薄き袂(たもと)に 宿る月影」、 月の光を薄い袂に重ねて、月光が少しぼんやり見えて、想像すると美しい場面です。 良経さんは色々に奥深い美意識を発揮された方ですから、 暑さも忘れて、涼しい光の美を感じたのではないでしょうか。 色んな想像の浮かんでくる、美しい夏の歌ですね。
さあ、夏の暑さも残暑も真っ盛り。 でもここは心の余裕も大事かと。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の・・・ ほのかにうち光りて行くもをかし、雨など降るもをかし。(枕草子 / 清少納言)
やっぱりいいものですね!