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今月は

2021年 5月は

今月は5日が立夏、もう初夏ですね。 ここ金沢では、寒暖を見ながらストーブをいつ片付けるかと考える月です。 ただ年と共に片付けるのが遅くなり、ついに来月になることも(笑) まあ、 それはあってもとにかく暖房も冷房も要らない時節というのはほんとにありがたいです。 気軽に部屋から出られるというだけで、季節が巡るというのはすごいことだなーと思います。 季節が巡って、いい時節にはいいことが。そうあってほしいですね。
今月の金花糖は、初夏ということでメニューも冬から夏前の合いメニューに変わります。 そして寒くもなく暑くもなくのいい時節、 おすすめメニューには、紅茶あんみつはいかがでしょうか。 紅茶あんみつは、濃いめアールグレーの紅茶寒天が主役のあんみつです。 まずベースに紅茶寒天がたっぷり入ります。 その上に丹波大納言の餡と、自家製アイスが載せられて、 色どりに苺、キウイと生クリームが添えられます。 固定ファンがとても多い大好評のメニューです。 特製の白蜜が付きますので、お好みの甘さで紅茶寒天の味を楽しんでいただけます。 今月は金花糖で、ぜひ紅茶あんみつをご賞味くださいね。
では、初夏のよみ人知らずの歌です。

四月ころの、月の趣きが素晴らしい夜、人に送りました。

あひ見しもまだ見ぬこひも郭公月になくよぞよににざりける
〔逢ひ見しも まだ見ぬ恋も 郭公(ほととぎす) 月に鳴く夜ぞ 世に似ざりける〕

逢って枕を交わした恋も まだ逢えない恋も ほととぎすが こんな月に鳴く夜こそ 募(つの)る思い、世にこれ以上はないよ。
旧暦の4月は初夏、日が長く夜も短くなってきた頃です。 気候がいい頃ですから美しい月も見られます。 そこにホトトギスの声が・・・ 感激してすぐ友達に歌を詠んで送ったのでしょう。 昔は何でも時間がかかるという印象ですが、手紙は家人がすぐ持って行くわけですから、 京都なら相手が京都にいればそんな時間はかかりません。 返事も、書くのを待ってそのまま持って帰ればすぐに見られるわけです。
眠らないで見ているか、 なんとも美しい月にホトトギスが鳴いてるぞ! 恋の思いがかき立てられる最高の夜だ・・・
昔の人はホトトギスの声が大好きでした。 それはすごく恋心を誘うような声に感じられました。 多くの人がいちばん聞きたい鳴き声だったと思います。
ホトトギスの鳴き声
今は普通に可愛い鳴き声という感じですが、 昔は、悲痛な恋の叫びを、可愛い声で上げているように聞こえたのではないかと思います。 そして恋心が燃え上がりました。
ホトトギスが鳴き始めるのは初夏です。 昔の人は、早く声を聞きたい、 初めて鳴く声を聞きたいということで今夜は鳴きそうだと思うと、 特に根拠はないわけですがその夜は寝られず夜を明かすということもしばしばだったのです。 そのホトトギスの声が、初夏の爽やかな美しい月の夜空に響いたのです。
「逢ひ見しも まだ見ぬ恋も ほととぎす 月に鳴く夜ぞ 世に似ざりける」、 春は桜、秋は紅葉ですが、恋しい人がいれば 初夏は月にほととぎすです。 そんな素敵な昔の人の趣きをぜひ感じてみたい、 そう思わせてくれるような、勢いあふれる素敵な歌ですね。
さあ、春過ぎて夏へ。明るい夏が来るのを楽しみにしたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087