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今月は

2025年 8月は

先月は金沢は、梅雨のはずなのに雨が本当に降らない。 梅雨明けとか発表もありましたが、梅雨の間でも実質ただただ蒸し暑い夏でした。 そして今月は、この暑い中で7日が立秋です。 ということは6日で夏は終わり。7日からは秋ですから残暑となります。 いつもこの残暑が暑くて大変です! しかしこの頃から、夕日が美しくなるとか、少しずつ秋が見えてくるのです。 でも、いったいいつまで暑いのかとなるわけですが、毎年9月の20日すぎまで続きます。 昔から、暑さ寒さも彼岸までと言われますが、今も同じというのが面白いですね。
さてこの汗だくの時節、心だけでもゆったりとしたいもの。 ここは、金花糖の甘味でゆったり気分になられては如何でしょうか。 金花糖の餡は、小豆が丹波大納言、ほんとに美味しいですよ。 この時節を、ぜひ金花糖で乗り切ってくださいね。

では、汗だくの夏が話のたねになっている歌です。よみ人知らずです。

さかしらに夏は人まねささのはのさやぐしもよをわがひとりぬる
《賢(さか)しらに 夏は人まね 笹の葉の さやぐ霜夜を 我が一人寝(ぬ)る》

これは面白い歌なんですが、単に直訳しただけでは今の我々には意味不明です。 ひとまず直訳を。

賢(かしこ)ぶって 夏は人まねをしていたら 笹の葉が 風にざわつくような霜の夜を 私は一人で寝ているよ。
何を言ってるのか(笑) 実は昔、平安の貴族の間に言われてたことだろうと思うんですが、 モテる粋な男は夏は女と寝ないという話がありました。 冷房はもちろんとにかく扇しか無い時代です。 夏向きに風通しよく建てられた家で、スケスケのシースルーのような服一枚で過ごすんですが、 それでも汗でべとべとになってしまう。 気持ち悪いし、モテる粋な男となると夏は女とは寝なかったそうです。 この歌を詠んだ人は、夏にそんなモテる男の真似をしていたのです(笑)

賢(かしこ)ぶって粋なモテる男みたいにと 夏は人まねで女はいらないと寝ていたら 笹の葉が 風にざわつくような霜の夜を 私は一人で寝ているよ。
昔の家は夏も大変でしたが冬は冬で、何しろ夏向きに作ってある家で暖房は炭火だけですから、これも寒くて大変でした。 男女で抱きあって寝ていれば、心もあったかいですが体もやはりあったかいのです。 夏に、寝る女なんて何時でもいるよとか格好を付けてたら、 寒い時節に散々なことになりましたということですね(笑)
「賢(さか)しらに 夏は人まね 笹の葉の さやぐ霜夜を 我が一人寝(ぬ)る」、 ちなみにあの源氏物語には、男女が寝る場面が当然数多くあるのですが、全てベッドシーンそのものは描かれていません。 寝る直前までの文あって、いきなり寝た後の描写になるのです(笑) でも寝た後の文から、どんなベッドシーンだったが想像できるのです! で、もっとも激しいベッドシーンだったと思われる季節はいつかと思って見てみると、 それは旧暦の四月、つまり初夏、まさに暑くもなく寒くもなくの時節でした。 この「夏は人まね」の歌を読んで、さすが紫式部!と妙に納得しました(笑) これは色んな想像がひとりでに湧いてしまうような、面白い歌ですね。
さあ、残暑残暑で蒸し暑さもピークです。 でもここを乗り切れば秋の夜長ですから、楽しみにがんばりたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087